データ分析の効率化・自動化 SaaS「Gross sales Rush Board」を開発・提供する Srush は4日、プレシリーズ A ラウンドで1.8億円を調達したと発表した。このラウンドに参加したのは、マネーフォワードベンチャーパートナーズの HIRAC FUND、ニッセイ・キャピタル。調達金額には金融機関からのデットが含まれる。これは Srush にとって、2020年12月に実施したシードラウンドに続くものだ。今回の調達を受けて、同社の累積調達額は2.6億円に達した。
Srush は2019年、NTT コミュニケーションズなど複数社で10年間にわたり法人営業を経験した樋口海氏により創業。既存のデータ分析のためのツールが、プログラミニングスキルを持ったデータエンジニアが使うことを前提に設計されていて、データの ETL(抽出・変換・書き出し)、データウェアハウス、BI ツールは全て異なるツールであるため、それらを連携させて使うためのスキルと手間が必要になる。Gross sales Rush Board では、これらを一貫して一つのツールで完結できる環境を提供する。
Gross sales Rush Board が特にターゲットとするのは、プロダクトマーケットフィット(PMF)のフェーズが終わり、グロースに向けてアクセルを踏み始めたシリーズ A やシリーズ B ラウンド以降のスタートアップだ。彼らはマーケティングや営業活動にも力を入れ始めていて、販売管理費が増えてきて精査をしたくなる。例えば、受注プロセスのどの部分で落ちているのか、どのセグメントが有効なのか、など、それらを分析に基づいて最適化することができれば、より事業のパフォーマンスが良くなるはずだ。
ただ、データエンジニアの人口そのものが多くない中で、このフェーズのスタートアップにデータ分析が十分にできる人材がいることは稀だ。仮にいたとしても、他の作業に忙殺しているかもしれないし、時間のかかるデータ分析作業に十分な時間が取れないかもしれない。担当者から「こういうデータが欲しい」と要望を受けてから分析プロセスに数週間を要していたとしたら、それまで必要なアクションが取れないままムダな時間が過ぎることになる。黒字転換していないスタートアップにとってはランウェイの浪費だ。
また、Gross sales Rush Board を使っているのはスタートアップだけではない。従来のデータ分析の方法だと、データが溜まれば溜まるほど、つまり、長期にわたるデータを分析するほど動作が重くなることは避けようがなかったが、Gross sales Rush Board はサーバレスアーキテクチャーで設計しているため、データが溜まっても軽快な動作を続けることが可能だという。また、海外製のデータ分析ツールが多い中で、Gross sales Rush Board は日本語でカスタマーサポートを提供できるのもメリットの一つだ。
樋口氏によれば、スタートアップ周辺では、サブスクビジネスが普及したこと、ユーザがメディア化したことなどから、データの抽出や統合作業が煩雑化しているという。また、ツールがうまく使いこなせない、導入できない時の手段として、半ば皮肉を込めて言われる「スプレッドシートを使ったデータ分析」だが、これは個人作業には向いているが、チームでの作業には向いていない、というのが樋口氏の考えだ。Srush では今回の調達を受けて、開発強化、販売拡大、人材作用の強化を図るとしている。
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